長谷駅の改札を出て、大仏さまの高徳院に向かって歩くこと数10メートル。
すこーしゆっくり歩いてみたら、気持ちがすーっと落ち着くようなコーヒーの香りに気づくはず
▲バンの後部がコーヒースタンドに! 整然として洗練された雰囲気があります。idobata(イドバタ)は、小さなコーヒースタンドです。
長谷寺や大仏さまの高徳院に向かう長谷のメインストリート。その混雑ぎみの狭い歩道から、一歩下がった民家の駐車スペースに止まったバンが、コーヒースタンドになっているのです。
バンの荷物スペースに、コーヒーを淹れるカウンターができていて、ぎゅっと詰まった珈琲工房の趣。ひと目で、「もう絶対、コーヒー美味しいに決まってる…」と直感できちゃう
ゆったり座って寛げるカフェではありません。コーヒースタンドの前に、簡単なイスがいくつかあるだけです。idobataの基本はテイクアウト、でも、コーヒーそのもので心と身体が寛いじゃう……そんなコーヒー、飲めます。
▲粛々とした所作で、丁寧に淹れられるコーヒー。自分の分のコーヒーは、この間の香りも楽しまなくっちゃ。
▲見た目ではわかりませんが、右がケニア(400円)、左がゲイシャ(600円)。香りも味も、しっかり違いが際立っています。メニューは、コーヒーのみ。
idobataでは、スペシャリティコーヒーの先駆者として知られる堀口珈琲の豆を使っています。堀口珈琲の種類豊富なコーヒー豆の中から、味わいが異なる4種のブレンド、ストレート(シングルオリジン)が4種ほど、アイスコーヒーもブレンドとストレート3種ほどをセレクト。
ストレートは、同じ種類の豆でも、生産者やローストが異なるものが用意されていることもあり。
注文に迷ったら、マスターに聞いてみよう!
味や香りって、感じ方が人によって違うけど、説明のイメージどおりだったら納得の美味しさ、イメージと違ってたら驚きの美味しさ…いずれにせよ美味いのです。
注文すると、コーヒー豆を計って挽いて、ドリップしてくれます。
コーヒー豆を取り出した時、挽いた時、そしてお湯を注いだ時、ちょっとずつ変わっていくコーヒーの香りにわくわく。
異国の地で育ったコーヒー豆が、精製され選別され、ローストされ、多くのプロセスをへて1杯のコーヒーになるわけですが、やっぱり飲む人にとって肝心なのは、飲む瞬間に一番近いドリップの技術なんだなって思います。
ブレンドであれ、ストレートであれ、そのコーヒーの個性が伝わってくる最初のひと口。それから、だんだん温度が下がってきて、飲む方も香りに慣れてきて、味そのものが感じられるようになって、ちょっとずつ飲んで、そして名残惜しい最後のひと口。コーヒーを飲むということ、そのものが楽しいです。
▲中学生も気になって、チラ見しながらすぎていく。
▲江ノ電長谷駅の直ぐ近く。歩道が混雑してると、見逃してしまいます。
コーヒースタンドの周りに、書棚が設えてあって古書が並んでいます。小さなコーヒースタンドに、寄り添っている小さな古書店「しまぶっく 鎌倉出張所」です。
▲屋外に置かれた本棚なので、雨の日などには出てないこともあります。idobataのマスターは、コーヒースタンドを始める以前に、長く書店のお仕事をされていたそうです。マスターの書店時代のお仲間が、清澄白河(サードウェーブコーヒーの中心地!)で営んでいる古書店が、しまぶっく。そこから、鎌倉、長谷の地に馴染む “和” をテーマにした書籍を中心に選んで並べています。マニアックすぎず、でも決して凡庸ではない絶妙なセレクトです。
「良いと思うものを、責任感を持って選んで届けることが大切だと書店の仕事の中で学びましたね。」
と、マスターがおっしゃってました。なるほど、その言葉が体現されているのがidobata
時々、ただコーヒーを飲むことを目的に、長谷に出かけています。
▲美味いので、「美味い!美味い!」と連呼して、マスターを恐縮させてしまいました。
▲ツバメの雛が孵ってました! 親鳥さんたち大忙し。鎌倉中で、ツバメがビュンビュン飛び回っています。
なんとなく寄ってみたら、めっちゃ美味しくて驚いた! というのがidobataのファーストインプレッション
初めてidobataでコーヒーを飲んだのは、2017年元旦の午前2時ごろ。大仏さまと観音様に初詣した後、しんしんと冷えてきて、正直、ここしかなかったから入ったのです。
お正月なので奮発して600円のゲイシャを注文。花の香りに包まれたようなゴージャスさで、ゲイシャのすごさに感動しました。その後、エチオピアでもケニアでも、ブレンドでも、その時、一番良さそうなコーヒーを教えてもらって飲んでます。いつも、コーヒー飲むだけだから、滞在時間は長くないのですが、気持ちゆったり、満足感いっぱいです。
沖縄地方が梅雨入りとのニュースを聞いて、一気に紫陽花が待ち遠しくなりました。