扇ヶ谷と山ノ内(北鎌倉)をつなぐ亀ヶ谷坂切通は、樹木に囲まれ古道の趣を保っています。舗装された道ですが、車両の通行が規制されているので、ぶらぶら歩きが楽しいところ。梅雨時には紫陽花の咲く道として知られ、秋には萩が坂道を彩ります。
北鎌倉側の坂道、長寿寺の敷地にそって切り土され少し高くなったところ、100メートル弱の間に萩の株が並び、路面に注ぐよう枝を伸ばしています。
濃い赤紫、白、ピンク、それから、濃淡の混じった繊細な花、細く軽やかな枝にたくさんの花をつけていました。
たくさん咲いて満開のよう見えるけど、蕾もまだまだいっぱいなので長く見頃が続きそう。
萩は、開花時期が近くなると突然にぐんぐん枝を伸ばして、あっという間に景色を秋仕様に変えてしまいます。
晴れている日の陽射しはきつくて暑さも感じますが、亀ヶ谷坂切通には涼やかな風が抜けていきます。細い枝に小さな葉っぱと小さな花、萩はかすかな風にも揺れて、秋風を目に見せてくれます。
ここ数年、夏があまりにも暑すぎて、長すぎて、「秋」という言葉は、ファッションの世界とか、ショッピングモールのキャッチコピーの中だけって感じだったけど、今年は萩がしっかり咲いて、鎌倉に「秋」が戻ってきたようです。
今年(2021年)は、鎌倉中、どこも萩がよく育って豊かに咲いています。
鎌倉の萩の名所と言えば、“萩寺” とも呼ばれる宝戒寺。そして、扇ヶ谷の奥の海蔵寺、浄光明寺、いずれの場所もよく咲いています。
鎌倉から北鎌倉に行く時は、電車に乗らずに、扇ヶ谷を抜けて亀ヶ谷坂を通って歩いて行くことにしています。
扇ヶ谷から亀ヶ谷坂切通に入ると、すぐにものすごい勾配の坂道が迫ってきて、登り始めるといつもちょっぴり後悔しちゃう…で、写真を撮るフリをして立ち止まったり、振り返ったりして小休止。まぁ、平日だとほとんど誰も通らないし、通っても50ccバイクかワンコのお散歩の人なので、“フリ” なんてしなくていいのだけれど、「坂がキツくて登れないんだな…」と思われたくない! ワンコさんにも!!
この道を使うと、鎌倉と北鎌倉がとっても近いんです。北鎌倉側から通れば、急な坂道も下り坂。峠のあたりは鬱蒼とした樹々に囲まれ、古道らしい雰囲気です。