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秋空に映える紫苑色[海蔵寺]

神社と寺|2021年10月11日

10月に入って彼岸花も萩の花も見頃が過ぎた頃、扇ヶ谷の奥にある海蔵寺では、秋らしい色合いの紫苑が盛りを迎えます。

鎌倉 海蔵寺の紫苑
芙蓉もよく咲いて、華やか。

山門をくぐると、すぐに出迎えてくれる薄紫の群生。2mぐらいある背の高い花です。

紫苑はキク科の草花。花の形も色合いも繊細ですが、見かけより花茎が丈夫で多少の雨風ではへこたれず、9月終わりに咲き始め、10月の中頃まで咲き続けます。

海蔵寺の紫苑は、一本一本の茎に添木が当てられて、10月初めに海側をかすめて行った台風の影響もほとんど見られず、健やかに咲いていました。

鎌倉 海蔵寺の紫苑
背の高い花を見上げると、花びらが日差しに輝きます。

紫苑は、平安時代から好まれていた草花で、『源氏物語』の中にも六条院の庭で秋の風景を彩っていたことが描かれ、衣や敷物などの色としても登場します。

そして、平安時代末期に編纂された『今昔物語』(巻第三十一/兄弟二人殖萱草紫苑語 第二七)には、「心の中にあるものを忘れなくなる草」として紫苑が出てきて、

  ……よき事有らん人は紫苑を植えて常に見るべし

と、お話の結びのところに書かれています。

鎌倉 海蔵寺の紫苑
澄み切った秋空によく似合う花々です。
鎌倉 海蔵寺の紫苑
高さ2mを超える元気な咲きっぷりです。

紫苑の花言葉として、よく紹介されている「追憶」、「君を忘れない」などは、今昔物語からとられたものと思われます。少し青みがかった薄紫の色彩は、誰かのことをそっと思い出す…という、ひっそりとしたメージにぴったりですが、海蔵寺に咲くこの紫苑の花の前に立つと、だいぶ違った印象です。

鎌倉 海蔵寺の紫苑

燦々と降り注ぐ日差しに照らされて、青空に向かって咲く紫苑。

背の高い花を見上げるので、小さな花弁がそれぞれに背伸びをしているよう。蝶や蜂が飛び交い、活力に満ちていました。

なので、ここでは花言葉も、「楽しい思い出」ぐらいにしたいところです。

鎌倉 海蔵寺の紫苑

 

真夏の間はあまり見かけなかったアオスジアゲハが、紫苑の花に次々とやってきます。蜂やアブもブンブン飛び回っています

鎌倉 海蔵寺の紫苑

少し朝晩の気温が落ち着いてきて、真夏より昆虫たちを多く見かけるように思います。暑過ぎる夏が終わって、虫たちもやっと動けるようになったのでしょうか? 人間も、ここ最近、やっと真昼間に歩き回れるようになりました。

海蔵寺

鎌倉市扇ガ谷 4-18-8
0467-22-3175
JR鎌倉駅より徒歩約20分

拝観時間 9:30~16:00
「十六の井」拝観料 100円

最寄り駅からのアクセス(行き方)

現在地からのアクセス(行き方)※ルート探索にはGoogle Mapを使用しています。「現在地からのアクセス」は位置情報をGoogle Mapに送信する必要があります。

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