※2019年9月、10月のたび重なる台風と大雨で倒木などの被害があり、鎌倉全域のハイキングコースは通行禁止になっています! 銀杏や楓の木々は紅葉前にかなり葉が落ちてしまいました。獅子舞は市の管理するハイキングコースではありませんが、被害を受けていることは同じです。回復・復旧にはかなり時間がかかると思われます。(2019年10月追記)
「獅子舞の谷」は、鎌倉の奥、閑静な二階堂の住宅地のさらに奥にあります。
社寺の紅葉とは趣の異なる、自然の中の晩秋の彩りが楽しめます。
JR鎌倉駅からバスに乗り、大塔宮で下車。瑞泉寺を目指して歩き、永福寺跡を過ぎたあたりから川に沿って北方向に進みます。しばらくすると「ハイキングコース・獅子舞谷」の道標があります。
滑川の支流、二階堂川をさかのぼっていく山道に入ります。鎌倉石の岩肌そのままの道、湿っていて、落ち葉があると滑りやすいのでご注意!
このハイキングコースの入口あたりにも、見上げると楓の木がありますが、今年は鎌倉中の紅葉がゆっくりだったのでまだ青葉でした。
山道を上っていくと、やがて林の奥に濃く赤く色づいた樹々が見えてきます。
ハイキングコースに入って、20分ぐらいで少し平らに開けたところに出ます。
天園ハイキングコースが通る尾根の下にあたるところで、なだらかな谷になっていて銀杏の黄色い葉、楓の赤い葉が上から覆い被さるようです!
のびのびと空に枝を伸ばした銀杏の大木から、はらはらと黄金色の葉っぱが落ちてきます。その合間には、赤く染まった楓の枝が伸び、紅葉の色が幾重にもかさなります。
紅葉の盛りとなる時期、多くの人が訪れます。毎年、ここに来ている人も多く、聞いたお話によると「今年の獅子舞の紅葉は、いまいち…」なんだとか。楓の紅葉が良い年には、地面も落ちた葉で真っ赤に彩られ、360度どの方向を見ても紅葉色になるんです。
今年の楓は色づきが遅く、まだ落葉していませんでした。それでも、梢の間から差し込む木洩れ陽が色づいて見え、秋色の山道を満喫することができました。
紅葉の谷を抜けて、急な傾斜を上ると天園ハイキングコースにぶつかります。
尾根の上にでると西側に視界が開けていて、先ほどまでいた谷の紅葉を見下ろすことができます。天気がよければ、上る途中からでも富士山が見えます。
この上りきったあたりに、獅子舞の名前のもとになったと言われる大きな岩があります。獅子がうずくまっているような形をしてる…そうですが……どうかな? 見えるかな?
調べてみたら、江戸時代に編纂された『新編鎌倉志』(貞享二年/1685年)の中に “獅子巖” という見出しがでてきました。
獅子巖(シシガン)は、永福寺舊跡の北、山の嶺にあり。巖の形獅子の如くなる故に名く。
(獅子岩は、永福寺旧跡の北、山の峰にある。岩の形が獅子のようなので、その名がついた。)
と、あります。この江戸時代に記載された岩が、今の獅子岩と呼ばれてる物と同じなのかはわからないのですが、このあたりは削れやすい鎌倉石の岩盤なので、“うずくまった獅子” のような形ができやすいのかも? あちこちに獅子の形の岩が転がってるから “獅子舞” という地名になったという話も聞いた事があります。
名前のルーツについて諸説あっても、
獅子舞の地名と、真っ赤に染まった紅葉の谷はイメージぴったりですよね。
天園ハイキングコースは、獅子舞の谷を上がってから、北鎌倉・円覚寺に向かうと約2時間、瑞泉寺に向かうと約1時間歩くことになります。どちらに行っても、なかなかに険しい山道に出会います。もっとも足腰に優しいコースは、もういちど獅子舞の谷を通って戻るコース。ハイキングそのものより、紅葉を堪能したい方には “戻るコース” がおすすめです!
この日は、天園ハイキングコースを瑞泉寺に向かってみました。瑞泉寺の紅葉も、今年はかなりゆっくりで、参道入口の大きな楓はかなり青葉でした。本堂の周りの紅葉も、半分ぐらい。
紅葉はなんとももどかしいのですが、すでに水仙が咲いていました! 良い香りもただよっていて、いっぱい歩いてよかったーと思いました!