北鎌倉の紅葉が見頃を迎えています。
今年の紅葉は、かなりゆっくり……色づく木立の中に、まだ青葉の梢があったりします。
長寿寺に行ってみました。
このお寺は、拝観日が季節・曜日限定(雨天中止)なのですが、さすがに建物もお庭も美しく保たれています。多くの人が訪れる日でも、心静かにゆったりと過ごせるところです。
玄関で靴を脱いで、本堂に上がってお参りします。その後、書院や小方丈の座敷からお庭を拝見することができます。
書院に座ると、茅葺き屋根の観音堂を取り巻く真っ赤な楓が見えました。この日は、前日に雨が降ったおかげでしょうか、苔もふんわりと柔らかく見えました。
建物奥の小方丈からは、裏庭の景色が楽しめます。晩秋らしい低い陽射しが、座敷の奥まで届いて明るくポカポカでした
お部屋の中に、赤い毛氈が敷かれています。この毛氈のところに座ると、お庭の景色が際立ちます。書院でも、小方丈でも、縁側の廊下でも、座ってみると景色のよいポイントに、赤い毛氈が敷かれてます。混雑ぎみのときがあっても、ちょっと腰を落ち着けていると、ふと誰もいなくなって贅沢な時間を過ごす事ができちゃいます。
お部屋からの眺めを楽しんだ後、お庭を歩いてみました。
本堂、書院、観音堂が囲む表側は、整えられた苔の庭。敷石の散策路が、観音堂に向かって伸びています。禅宗のお寺らしい端正なお庭ですが、この季節は観音堂の周りの楓が濃淡さまざま、華やかに彩っています。
境内奥の少し高くなったところに、長寿寺の開山・足利尊氏公の墓所があります。この墓所のあたりから見下ろすと、山の中のような紅葉の風景が楽しめます。
さらに境内奥へと続く散策路は、小方丈の裏手のお庭へと向かいます。木洩れ陽のきれいな道で、途中に竹林があり、紅葉の樹々に重なってよい景色ができていました。
長寿寺は、境内をぐるりと巡ると趣の異なる景色が見えて来て、楽しみの多いお寺です。
長寿寺を拝観する度に、日本家屋っていいなぁ…ってしみじみ思うんです。
以前、梅雨の季節に来た時には、外はむっと蒸し暑かったのに、窓を開け放した室内は風が通って爽やかでした。そして今回、風の冷たい紅葉の季節に来てみたら、部屋の中深くまで陽射しが入ってほっこり暖かかったんです。よく見ると、エアコン完備されてるんですが、きっとほとんど使わないんじゃないかと思います。
北鎌倉の駅から長寿寺まで歩く途中、個人のお宅などで山茶花が咲いてるのをたくさん見かけました。鮮やかなピンク色から、薄紅、純白など色もいろいろ、可憐な一重咲きや豪華な八重咲きなど咲き方もさまざまで楽しませてくれます。