紫陽花のシーズン! 鎌倉中に多くの人が訪れています。
花の名所として有名な寺社は、境内に人の渋滞が起こるほどの賑わいぶり。混雑する紫陽花の名所をちょっとそれて、梅雨らしい静かな場所を探してみました。
▲書院から苔の庭を眺める。雨上がりの緑鮮やか。北鎌倉駅から歩いて15分ほどのとこにある長寿寺は、足利尊氏開基の古刹。この季節、庭に敷き詰められた苔が緑濃く、梅雨時ならではのしっとりとした景色が堪能できるところです。
▲本堂から見た山門。高い場所にあるので、視界は山の緑だけになります。このお寺に拝観できるのは、季節限定の週末と祝日のみ。雨の日は拝観中止となります。拝観日が限定されているためか、訪れる人は(今のところ)少なめです。
この日は、朝からときおり小雨がぱらつく空模様。北鎌倉駅を降りた頃に、ちょっとポツポツと雨が落ちたり止んだり……
「今日は拝観中止かなぁ…」
と思いながら山門に向かったら、タイミング良く雨は止んで、入山できました。もしかしたら、受付の係の方は、拝観中止にするかどうか迷っていたのかもしれません。
▲茅葺きの観音堂。梅や松も手入れの効いた美しい姿です。クルマ通りの多い鎌倉街道から、山門前の階段を上がってきただけであたりの空気が入れ替わったよう……境内に入ると、ふんわり柔らかく地面を覆う苔の緑が目の前に広がります。クルマの走る音に代わって、鋭くウグイスの声が響いてきました。
まずは、本堂に上がって、ご本尊にお参り。この日、入山できたことを感謝です
▲木の幹についた苔も美しく見えました。
本堂でお参りしたあとは、書院や方丈の座敷からお庭を拝見します。
座敷に正座すると、日本庭園ならではの静かな景色が見えてきます。畳の上に座って眺めるように作られたお庭なのだということが実感できると思います。木の幹のうねりや何重にも重なる木の葉の色合い、静かな砂利や石の様子と、柔らかく湿気を含んだ苔の緑……開け放した畳の部屋は風通しも良くて、ここは梅雨を楽しむ特等席です。
▲方丈から裏庭の眺め。
▲家屋の中から眺める庭は、計算された美しさ。長寿寺は「雨天拝観中止」なのですが、この日は拝観中に雨が降ってきました。座敷から小雨の風景をゆっくり味わいました。とてもとても稀で幸運な機会だったと思います。
雨が止んで、少し明るくなってきたところで、お庭に出てみました。
▲水を含んだ苔。近づいて見ると、生命力に溢れています。
▲梅雨が爽やかに見えてくる苔の緑。苔は水分をたっぷり含んで生き生きとしています。新緑の枝も濡れて鮮やか!
庭園は方丈の裏手にも広がっていて、鬱蒼とした木立の中を歩きます。
思いがけなく色濃く咲いた紫陽花にも出会いました。散策路がヤマアジサイに囲まれているようなところもあるし、境内奥の谷戸の深いところには、まだ咲きたてで色浅い紫陽花もたくさん!!
表は苔、裏は紫陽花…ここは隠れた紫陽花の名所ですよ
▲色鮮やかなヤマアジサイ。楓の新緑に映えていました。
▲これから色づく紫陽花もたくさんあります。
拝観の栞に「心静かに拝観のこと」と書かれてありますが、
この場所に来ると心が静かに落ち着いてしまいます。
▲苔の庭のカエル君たち。しっとりお天気が似合います。
建物の中にいるときより、外の方がむっと蒸したように暑く感じました、日本家屋すごい! 長寿寺の春期の特別拝観は6月いっぱい。週末はそれなりに訪れる人も多くなると思いますが、この時期の北鎌倉では静かなところです。本堂裏手の庭園には、紫陽花がたくさんあります。谷戸の奥でゆったり花を楽しめます。
そして! この長寿寺のすぐ脇を通る坂道は、鎌倉七口の一つ亀ヶ谷坂です。崖に挟まれた切通、斜面に紫陽花が咲きまくりなんですよ!
勾配はきついけれど歩きやすい道です。途中からは車両侵入禁止なので、ぶらぶら歩きに絶好のスポットです。
紫陽花シーズン真っ盛りの鎌倉は、どこもかしこも混雑気味。ランチタイムはすべての飲食店に行列ができる…といっても言い過ぎではないぐらい。お昼ご飯はスナックや食べ歩きものですませて、午後5時ぐらいからの早めのディナーを楽しむとか、ちょっと覚悟と工夫が必要です。