二階堂の谷戸の奥、瑞泉寺の紅葉は鎌倉の中でも、かなり遅めです。
12月に入って、街中はクリスマスの雰囲気もでてきた頃ですが、二階堂の谷戸の奥、瑞泉寺の紅葉はそろそろ見ごろを迎えようか…というところです。
谷戸に広がる境内には、初冬の低い陽射しが差し込んでいました。透明感いっぱいの光が紅葉した葉を輝かせ、参道に趣深い陰影を落としていました。
晴天の日でしたが鬱蒼とした木々に囲まれ、苔むした階段の参道は薄暗く感じるほどでした。階段を上がりきって山門の前に立つと、頭上は緑から黄、赤へと変わっていく楓の梢です。山門の屋根瓦に、ときおりくるくると舞いながら葉が落ちてきます。
山門をくぐり本殿の前に進むと、ぱっと開けて明るい陽射しに包まれます。梅の古木がすっかり葉を落としているので、陽射しの明るさが際立ちます。
瑞泉寺の山号は、錦屏山(きんぺいざん)。これはお寺を囲む山の紅葉が、錦の屏風のように美しいことから名付けられたのだそうです。
数年前のことですが、瑞泉寺からほど近い永福寺跡(現在は歴史公園になってます)の発掘が行われている時、作業をしている方から「二階堂周辺は山の形など、地勢が鎌倉時代とほとんど変化していない」というお話を聞きました。
錦屏山の名を与えられたこの山の佇まいは、
いにしえの人々が見たものと変わっていないのかもしれません。
鎌倉の紅葉の最終幕を飾る木々の彩り。
差し込む陽射しは低く澄んでいて、冬の訪れも感じさせてくれました。
瑞泉寺の鐘楼の近く、ちょっと隠れるような場所に石仏に囲まれてタヌキの像があります。むじな塚とも呼ばれていて、タヌキなのかムジナ(アナグマ?)なのかわからないけど、きょとんとした上目づかいがかわいい
「瑞泉寺の開山・夢窓国師の説法を聞きに集まった動物たちを弔った塚」とか、「人に化けてお寺に来ていたタヌキの塚」だとか、いくつかお話があるみたいで、どういういきさつでここに居るのか知らないのですが、来るといつもご挨拶しています。
この日はタヌキくん、木洩れ陽の下、赤い葉っぱに彩られてごきげんに見えました。