二階堂の谷戸の奥、瑞泉寺。春の梅は、見頃が2回に分かれます
▲境内は梅の香りと春の光がいっぱい。2月の終わり頃から、本堂周りの梅が咲き始めていました。
杉林の中の少し薄暗い山道の階段を登って山門を入ると、澄み渡った空が眩しい
ちょっと冷たい風が梅の香りを運んできます。
滑らかな曲線を描く本堂の屋根が、梅に埋もれているよう。どの木も、幹が真っ白に見えるほど白っぽい苔がついているので、梅の梢の重なりそのものが淡く光っているように見えます。
▲地蔵堂の前に紅白の枝が伸びていました。
▲春らしい晴天に梅が香ります。
▲ほとんどが白梅の中に、紅色の花が溶け込んでいました。
▲本堂左手には、見事なピンク色の枝垂れ梅があります。
瑞泉寺の梅の木、特に本堂の周辺の木々には、ウメノキゴゲという苔(正確には地衣類)がびっしりとついています。
▲幹や枝をおおうウメノキゴゲ。幹や枝が真っ白に見えるのでちょっとびっくりしちゃいますが、樹木から養分を吸収しない着生植物(養分を奪うのは寄生植物!)なので、生育を妨げたり枯らしたりする心配は全くありません
ウメノキゴゲは、自動車の排気ガスにとても弱く、大気汚染を調べる時の環境指標植物とされているんだそうです。
なので、ウメノキゴゲがたくさんあるのは、この場所の空気がきれいな証なんですね!
思いっきり深呼吸…梅の香りも身体いっぱい取り込んで気分爽快
▲背の高い枝垂れ梅。長く枝を垂らし、細かな花がたくさん咲きます。
本堂のすぐ前に、他とは趣の異なる梅の古木があります。本堂に参拝するときは、ちょっと頭を低くしてこの梅の枝をくぐります。
▲本堂前に枝を伸ばす黄梅。
▲ふわふわのおしべが目立つ花。地味だけどかわいい。鎌倉市天然記念物に指定されている「黄梅」です。パステルイエローの花に近寄ってよく見ると、花弁は小さく、雄しべがふわふわ。爽やかな香りのモダンな雰囲気の花ですが、江戸時代からある梅の品種なのだそうです。本堂前右手に、黄梅の若木が何本も育っていて、こちらもかわいい
3月の中頃になると、拝観受付近くの梅林が咲き始めます。
▲梅林の中には小道が通っています。
▲午後になると、谷戸の奥に陽射しが届く。山の上の本堂近くの梅より、2週間ぐらい咲き始めが遅くなります。なので、瑞泉寺の上下の梅を一度に観るのは難しくて(というより無理!)、2度3度と足を運びたくなります。
谷戸の中なので、午前中は日陰がちなのですが、お昼過ぎになると明るい陽射しが入ってきます。木々の中の小道は、春いっぱいの木漏れ日の道に
白梅と薄紅、鮮やかな紅梅が混ざって咲き、枝の重なりで変わる淡い色彩が楽しめます。
▲拝観受付近くから、本堂を見上げる。帰り際、振り返って見たら、見頃は過ぎたと思っていた山の上、本堂の脇に白く咲く梅が!
どの木だろう? と確かめたくなって、また石段を引き返す……。
瑞泉寺のある二階堂周辺は、近年、奥鎌倉とも呼ばれています。
大塔宮バス停から、瑞泉寺へ向かう途中で見事な梅の並木に出会いました。買い物帰りのご近所さんもデートのカップルも、トレッキング装備の団体さんも、皆さんひと時足を止めていました。すぐ近くには、大きな椿の木があって鮮やかな花をたわわに咲かせていましたし、早咲きの桜、蕾を大きくふくらませた木蓮などなど、道沿いの民家のお庭からも花々が道行く人を楽しませてくれます。
梅の見頃もそろそろ終盤。若宮大路では早咲きの玉縄桜がすでに花盛り、もう少しで安国論寺や本覚寺の枝垂れ桜が咲き始め、続いて段葛のソメイヨシノ、妙本寺ではソメイヨシノに続いて八重桜と海堂が咲いて……そうそう! 今年は、長谷寺の牡丹を見逃したくないぞ!
春の鎌倉は、欲張りで大忙し