長谷の光則寺には、趣のある古木の梅がたくさんあります。
こじんまりとした境内ですが、手入れの行き届いたお庭で「花の寺」として知られています。このお庭の中でいちばん有名なのは、樹齢200年を超える海棠ですが、その海棠や参道の桜が咲く前に、春爛漫の先駆けとして、古木の梅が静かに咲きます。
山門を入ると、右手にある白梅がほぼ満開になっていました。満開に咲いている木は2本ぐらいなのですが、横に大きく枝を張り出していてボリュームたっぷり。幹が白っぽく見えるのは、苔がついているからです。
数羽のメジロが、ちーちーと鳴きながら枝から枝へと飛び回っていました。枝にぶら下がるような体勢で、梅の花の蜜を吸っています。
しばらく、メジロが蜜をついばむ様子を眺めていたんですが、かなり近くの枝までやって来て、こちらのことなど、まるで気にしてない様子〜
光則寺の境内には、いろんな種類の梅があります。紅、白、薄紅、それから薄紅から白の花がグラデーションになって咲く「おもいのまま」(かなり遅咲き)という品種も植えられています。
梅は種類によって、木によって、だいぶ開花時期がずれるので、境内満開…にはならないのですが、見どころが移り変わって長い間楽しめますよー。
暖い日と寒い日が繰り返されて、見頃を予測するのが難しいのですが、これから3月上旬頃までは、いつ行っても、いずれかの梅が楽しめます。梅の季節の後半には、ウグイスの声も聞こえてくるようになると思います。
小さなお寺ですが、境内に池もあります。
池端のベンチに座って眺めると、対岸にも大きな白梅と椿が咲いていました。
光則寺はもともとお庭の手入れの行き届いたところですが、ここ最近、境内の散策路が整備され、休憩できるイスやベンチが整えられました。スタスタ歩くとすぐに見終わっちゃう感じの小さなお寺ですが、腰掛けてみるとなんとも落ち着いた雰囲気で、ゆったりできちゃいます。
裏山の中腹にある「日朗上人の土牢」は良く知られていますが、境内にはもうひとつ土牢が……本堂左手の小道を入ると、「大橋太郎通貞土籠 この上↑」と刻まれた石碑があります。
こちらの土牢は、ずっと公開されていなかったのですが、上に向かう階段が整えられ、行けるようになってました。
階段を上がるとちょっとした高台の広場みたいになっていて、土牢はさらに上。この先はかなりの坂道というより、急斜面…というよりガケをのぼっていく感じ……地面に手をかけて、よじ登ることになります。
「大橋太郎通貞土籠」のある場所は、かなりの高台で由比ヶ浜が見渡せます。眺望はなかなかなんですが、とにかく急斜面を登らなければならないので、手や膝が泥だらけになっちゃいますよ、たぶん。無理して登っていくと、帰りはお尻を斜面につけながら降りてくることになります。
“ふつーの鎌倉散策レベル” の服装だったら、階段を上がった広場のところからの景色をお楽しみください
大橋太郎通貞は、九州地方で勢力を持っていた平家方の武士で、平家滅亡のあと、源頼朝に捕らえられ “由比ヶ浜の土牢” と呼ばれるところに12年間も幽閉されていたそうです。