10月に入っても、陽射しはギラギラ眩しいですが、吹く風は爽やか〜。
江ノ島で一日遊んじゃいました
階段を上って下りて、ご利益いっぱいのお社に参拝して、お土産屋さんが並ぶレトロな雰囲気の参道を歩いて、青く輝く海を眺めて、波打ち際の岩場に降りてみる……江ノ島は、いろんな面白さがつまったワンダーアイランドです!
江ノ島は、古くから天女が降り立った神聖な島として知られ、鎌倉時代の初めには、源頼朝の祈願によって弁財天が勧請されました。
江戸時代後期には、弁財天信仰が盛んになり、江ノ島は庶民のための観光地として大人気に!
明治時代になってもその人気は衰えず、明治三十五年に出版された『鎌倉大観』という観光案内書に、当時の江ノ島の様子が描かれています。
風景の清洒濶大(せいしゃかつだい)であるので遊覧の客が甚多い。夏季の納涼と、四季の土曜日曜にかけて、京浜人士の来遊する者が多い。桟橋を渡って島に達すれば、狭くて急なる坂路の両側、亭閣高楼聳えゆ。皆旅館・料理店で、宿の男どもの腰を低め、バッタの如く起伏して客を呼ぶ声がおかしくもやかましくもある。又貝細工・羊羹などを売る家が多い。
(『鎌倉大観』江ノ島、上陸即景)
※江ノ島に木製の橋ができたのは明治二十四年(1891年)。それ以前は、引き潮の時に渡るか、船や人足の背負いで渡っていました。現在のクルマが通れる弁天橋ができたのは、昭和三十九年(1964年、東京オリンピックの年!)。
参道の雰囲気は、現在もあまり変わっていないみたいです。お土産屋さんには貝細工が並んでいるし、お饅頭や羊羹を売るお店の中には創業100年を越える老舗もあります。貝焼きやイカ焼きなどを売るお店もいっぱいあって、観光地らしいわくわくする活気が溢れています。
江島神社
江島神社にお祀りされているのは、三姉妹の女神様です。
3つのお社にお参りするには、江ノ島の頂上まで登り、さらに奥まで行かねばなりません。数百段の階段を上り下りすることになるのですが、「江ノ島エスカー」という島内を巡る登り専用エスカレーター(有料)があって、コレを使えばかなり楽ちん。
徒歩で階段を上るルートはちょっときついけれど、キラキラ輝く海を見ながら歩けるので、のんびりゆっくり行くなら徒歩のほうがきっと楽しい。
※少し料金割高になるけれど「江ノ島エスカー」は途中からでも乗れるので体調やスケジュールに合わせて使えます。
辺津宮(へつのみや)
最初に迎えてくれる女神様は、辺津宮(へつのみや)の田寸津比賣命(タギツヒメノミコト)です。
お社の近くにある御神木は、根元はひとつ、幹が2本に分かれた大きな銀杏の木。『むすびの樹』と呼ばれているこの木には、ピンク色のハートが描かれたかわいい絵馬がたくさん奉納されていました。結ばれたい相手の名前を書いて奉納します……かなりドキドキ
江島神社のシンボルといわれる「弁天様」をお祀りする奉安殿は、この日、補修工事中でした。
なので、妙音弁財天(みょうおんべんざいてん)さまにはお会いできませんでした
中津宮(なかつのみや)
江ノ島の頂上近くにある中津宮(なかつのみや)には、「江ノ島エスカー」に乗るとさくっと到着できますが、階段を上がると七里ヶ浜方面に視界が開けていて、青い海の景色をたっぷり楽しめます。
ここには、市寸島比賣命(イチキシマヒメノミコト)がお祀りされています。この女神様は、美人の神様として知られています。心も身体も美しくありたいと願う女の子たちが、真剣に願いをかけていました。
奥津宮(おくつのみや)
江ノ島の奥、奥津宮(おくつのみや)のあたりは、樹木に囲まれて静かな雰囲気があります。このお社には、多紀理比賣命(タギリヒメノミコト)がお祀りされています。
拝殿の天井には、どの位置から見上げてもこちらを睨んでいるように見える「八方睨みの亀」が描かれています。江戸時代の絵師・酒井抱一が描いたもので、屋外にあるためかなり痛んでいたのですが、2011年に社殿の全面修復をしたときに複製が作られました。オリジナルは現在、宝物殿に納められているそうです。
複製されてよみがえった「八方睨みの亀」は眼光鋭く、見上げると必ず目が合って、前後左右に移動しても、じーっと睨んだ視線がついて来ますよ…ぎくりっ
サムエル・コッキング苑
島内を順路に従って進むと、中津宮と奥津宮の間にサムエル・コッキング苑があります。
明治時代にアイルランド人貿易商・サムエル・コッキングが建設した植物園がもとになった庭園で、現在でも南国の植物が多く残り、四季を通じて花々が咲いています。
「江ノ島シーキャンドル」と名付けられた展望台は、高さ59.8m。江ノ島の頂上にあるので、海抜は119.6mになります。展望台最上部のデッキからは、海面をほぼ真下に見下ろすことができ、天気がよければ南に大島、西に富士山、東に三浦半島を望むダイナミックな景観が楽しめます。
2002年に植物園の改修工事を行ったとき、サムエル・コッキングが造営した温室設備の遺構が発見されました。
石炭を焚いて蒸気で温室内を暖める仕組みになっていて、室内の温度は24℃前後に保たれ、熱帯地方のさまざま植物が育てられていました。水温を一定に保てる池もあり、熱帯にしか生息しないオオオニバスを、路地で栽培していたそうです。
園内には、現在でもサムエル・コッキングが植えた、南太平洋原産の樹木が残っています。
御岩屋道通り
サムエル・コッキング苑から奥津宮へ続く道は、「御岩屋道通り」と呼ばれています。
江ノ島をスパッと2つに割ってしまったような深い谷「山ふたつ」を見下ろす細い道です。ちょっぴり上り下りの階段があって、両脇にお土産屋さんやお休み所が並びます。時代劇の宿場町みたいな古びた雰囲気がなかなかすてき。
江ノ島の入口あたりがかなり混雑している日でも、このあたりになると人混みはなくなります。
お洒落なカフェや、かわいい雑貨屋さんがあったりするので、見逃さないようにぶらぶら歩きを楽しんでくださいまし
稚児ヶ淵〜岩屋
「御岩屋道通り」の西端は、とっても急な階段になっていて、下りて行くと風景が一転! 広ーい海原が眼前に広がります。
江ノ島の南側は、岩場になっていて、絶好の磯釣りポイントとして知られています。
磯に降りられるようになっていて、岩のくぼみや割れ目に小さな魚やエビがいたり、イソギンチャクが揺れていたりするのが間近で見られて楽しい!
潮の干潮具合にもよりますが、かなり遠くまで歩いて行けちゃいますよ〜。気がつくと、周りを海に囲まれているようなところまで出ちゃってたりする……気をつけて!
※岩場は滑りやすいです! 突然、高い波が来ることがあるので、くれぐれもご注意!!
波の浸食によって、断崖にできた洞窟は「岩屋」と呼ばれています。洞内は薄暗く、水が落ちたり流れたりする音が低く響いています。
「岩屋」の奥は、ロウソクの灯りを持って中を歩いて行きます。照明や音響でロマンチック&妖しげな演出がちりばめられていますよー!
何に出会えるかは、自分の目で確かめてみて
レストランの格付けでおなじみのミシュランの観光地ガイド「The Green Guide Japan」の2015年改訂版に、新たに江ノ島が加わりました!
その効果があってか(気のせいかも…)、江ノ島を訪れる人の中に、海外から来てるらしい人が多かったように思います。
ノスタルジックでミステリアス、神聖な雰囲気と俗っぽい楽しさが混じり合う江ノ島は、江戸時代からずーっと盛り上がってる人気観光地! 世界中の皆さんに、楽しんでもらいたいです。