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花曇り、桜の名残り[大佛次郎茶亭]

SITE見聞|2015年4月13日

鶴岡八幡宮にほど近い、雪ノ下の住宅街の中にある大佛次郎茶亭(おさらぎじろう・ちゃてい)。ここは、昭和に活躍した作家・大佛次郎が、来客を迎える際に使っていた別邸だったところです。

4月11日に一般公開されていたので、行ってみました

鎌倉 大佛次郎茶亭の枝垂れ桜
枝垂れ桜の下にベンチが用意されていました。
鎌倉 大佛次郎茶亭
淡い花色が重なって、花曇りの花日和。

桜が満開になったと思ったら、鎌倉でもミゾレが降るような突然の冷え込み! そのおかげで、今年の桜は散りそびれています。この日は、曇り空のお天気でしたが思いがけずお花見の気分が楽しめました

 

大佛茶亭には、りっぱなソメイヨシノと背の高い枝垂れ桜があります。ソメイヨシノはだいぶ葉が出てきたところですが、枝に少し花も残っていて樹下に花びらがびっしり! 枝垂れ桜も、ちょっと盛りは過ぎたけどなかなかの見頃で、花盛りのシャクナゲと見事な組み合わせ。お庭に入って来た人たちを豪華に出迎えていました。

お庭に並べられた椅子に座って、趣あふれる茅葺きの建物を眺めると背景には高い建物などがないことに気づきます。

この場所は、鎌倉風致保存会の皆さんの活動によって、大佛次郎がここで過ごしていた頃に近い景観が残されているのです。

鎌倉 大佛次郎茶亭
茅葺きの屋根をもつ、数寄屋風の平屋立て。屋根は数年に一度吹き替えているそうです。
鎌倉 大佛次郎茶亭
植物の手入れも行き届いています。

大佛次郎の自宅は、この茶亭から路地をはさんだ向かい側にあったそうです。

※大佛次郎がこの茶亭を購入したのは戦後の昭和二十七年ですが、本宅は昭和四年からこの地に構えていました。

 

著作の中に、『終戦日記』という日記をまとめたものがあります。昭和十九年九月から昭和二十年十月までの間、太平洋戦争末期という厳しい時期に綴られた日記ですが、鎌倉在住の文人たちとの交流や近隣の人々と生活の様子が詳細に書かれています。

この茶亭の庭に座って、あまり変わっていないという景色を眺めると、『終戦日記』にでてくる風景や鎌倉の町の様子が想像できて興味深いです。

鎌倉 大佛次郎茶亭
鎌倉 大佛次郎茶亭

鎌倉 大佛次郎茶亭オリジナルグッズ
人気No.1は「手あぶり猫」。後ろには古書店で探さないとない書籍が…! 

邸内では茶席が設けられ、お抹茶(300円)を楽しむ事もできました。建物の中も、凝った作りになっていて、お茶を頂く間もちょっときょろきょろしちゃう……。

軒先の藤棚の下では、横浜にある『大佛次郎記念館』のオリジナルグッズや書籍を販売していました。大佛次郎は愛猫家として知られ、いつも10数匹の猫に囲まれて暮らしていたそうです。なのでグッズも、猫にちなんだものがいっぱいですよ!

現在、書店などでは手に入りにくくなっている書籍がならんでいたりして、しばし興奮

 

鎌倉 大佛次郎茶亭入口

鎌倉風致保存会が主催する一般公開は、年に2回、4月と10月に行われています。

↓日程など詳しくはこちら

公益財団法人 鎌倉風致保存会

 

茶亭はそんなに広くはないのですが、黒い木塀の路地から門を入って庭に立つと、タイムスリップしたように雰囲気が変わります。

もちろん盛りは過ぎているのですが、桜の花が庭を入った正面に見えて、訪れた人の多くが「桜、まだ咲いてるねー!」と感激してましたー。

鎌倉 大佛次郎茶亭の梅の実
小梅の実がなってました。

春の初めに咲いていた梅が、もう実をつけていてちょっとびっくりしました。これから、ツツジや藤が咲いて、お庭の美しい時期が続きます。

 

大佛茶亭は、週末&休日には「大佛茶廊」という名前のカフェ(アルコールもちょっと有)になります。

一般公開日には、多くの人が訪れますが、いつもの「大佛茶廊」はゆったりのんびりした雰囲気です。チャンスがあったらぜひ入ってみて!

※「大佛茶廊」は閉店しました。(2019年9月)

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