甘処あかねは、鎌倉にある多くの甘味屋さんの中でも特別な存在感を持つお店です。
このお店の看板メニュー「煮あずき」は、おしることもぜんざいとも、まったく違う。あんこじゃない、汁ではない!
「煮あずき」と名乗っているだけに、煮豆のように豆の存在感があります。大粒のあずきは、お箸で一粒ずつつまめるほどしっかりしています。ふっくらと柔らかくて、豆の味わいも香りもしっかり。甘さは、豆の風味を引き出す脇役になっていて、甘味というより、まさに豆味!
良い素材を丁寧に仕上げてることがわかります。
白玉入り煮あずきは、温かい煮あずきとふっくらもっちりの白玉の組み合わせ。焙じ茶、煎茶、玄米茶、冷茶、お抹茶などから、好みのお茶を選んで注文できます。
「あかねパーフェクト」は、煮あずき、寒天、抹茶寒天、アイスクリーム、杏の蜜煮、そこに黒蜜が香ります。
寒天と冷たい煮あずきの食感がすっきりと美味しい。抹茶寒天は、きりっと苦みが利いて、アイスクリームが加わるとリッチになって……ひとすくいごとに味わいが変わる楽しくて贅沢な和パフェです。
甘処あかねは、カウンター10席ほどのこじんまりしたお店なので、席からお店のスタッフがメニューを仕上げていく様子を眺める事ができます。
注文を受けてから捏ねて丸めて茹でる白玉、種類によって注意深く温度をみながら丁寧に入れるお茶、茶器の扱いなどもすべて手際よく、きびきびとした所作が気持ちよい。小豆、寒天、白玉といった、甘味屋さんの基本といった材料の組み合わせから、ここにしかない特別な美味しさができあがっています。
素材にも作り方にも、出し方にも、こだわりと配慮がいっぱいなのに、頑固さや大仰さがちっともなくて、心地よい。
甘いものが好きな人なら、ご飯のおかずにもできるほどの「煮あずき」です。お漬け物と「煮あずき」があったら、ご飯がどんどん進みそうなキケンな予感がします。
「甘い物が苦手な人でも楽しめる甘味」というのを、ほとんど信じてないのですが、この煮あずきは甘さが苦手でも、豆が好きなら楽しめるんじゃないかと思いますよ。
カウンターのみのお店ですが、くつろげる雰囲気です。和装の似合う上品な女将さんと、きれいで可愛らしいスタッフのお嬢さん方が、このお店の魅力を倍増していますねー!