大町、松葉ヶ谷の安国論寺は、花の寺として名高い古刹。
枝垂れ桜の大木が満開を迎え、小鳥の声が響く谷戸に薄紅の霞が立ちこめます。
▲本堂の奥。高い幹から長く枝垂れた枝。花が豊かで豪華です。
▲山門でも枝垂れ桜が迎えてくれます。大町の閑静な住宅街の奥、山門の前にも枝垂れ桜が咲いてすっかり春の彩りで迎えてくれます。
安国論寺は、可愛らしい山門のイメージで小さなお寺と思い込みがちですが、境内は小高い山に切り込んだ谷戸の中に起伏豊かに広がっています。相模湾も望む富士見台から、鐘楼、日蓮聖人にゆかりのある南面窟へと、山の稜線をめぐる小道はちょっとしたトレッキングコースのよう。鎌倉ならではの谷戸の景観を体感できます。
そして、ここに咲く桜は大きく広がった枝に豊かな花をつけるダイナミックな枝垂れ桜
ソメイヨシノより1週間ほど前に見頃を迎えます。
▲本堂の向こう側が桜の花でみっちり。手入れの良い庭を通る参道を進むと、本堂の奥に煙るように花をつけた枝垂れ桜が姿を表します。屋根を越える高さからみっちりと花をつけた枝を垂らし、まさに花霞
谷戸の中に差し込む陽射しが柔らかに陰影をつけて、盛り上がるように、漂うように薄紅色の花が浮かんでいます。
▲屋根より高い桜の木です。
▲日差しにきらめく花。
▲谷戸の中にたまった霞のよう。
▲尾根の山道から見る桜。手入れのいきとどいた本堂前のお庭だけでも十分にお花見を楽しめるのですが、できたら、安国論寺らしい起伏に富んだ境内を歩いてみてください。
本堂奥の墓所を抜けて、南面窟に向かって登っていくと少しひらけた場所があります。ここから眺める枝垂れ桜が、またまたすてきなんです
▲南面窟の近くから。少し離れて見ると、木の大きさがわかります。
▲枝先まで花が豊か。山の上にある鐘楼まで登って行く道。茂った樹木の間から、枝垂れ桜の見えるところを探して歩きました。本堂がすっぽり桜の花で隠れて見えたり、向かい側の山に山桜が咲いているが見えたり……まるでハイキングみたいな境内散策です。
本堂の前に戻ってきて、あらためて花の下をうろうろ
よくよく見ると、まだ少しつぼみもありました。咲ききって花吹雪になったらすばらしいことになりそう
▲幾重にも重なる枝に、谷戸の陽射しが陰影をつけます。
すばらしい花の咲きっぷりなのに、気がつけば境内独り占め
▲見えるお堂は長勝寺。ここも桜の名所です。
安国論寺は、境内を囲む山に登る小道が整備されました。とっても歩きやすく整備されていますが勾配のある山道なので、おしゃれにキメた日にはおすすめしません…でも、歩ける靴でお出かけなら、ぜひぜひ、富士見台から鐘楼のあたりまで歩いてみてください。春から夏にかけては、なかなか富士山がどーんと見えるチャンスがないのですが、相模湾のきらめきが見えて海が近いことが実感できます。
鎌倉の桜は当たり年なんじゃないかと思います! 5年ぐらい前に、たて続けに海から上陸する台風に襲われ痛めつけられた樹木が、今年は復活していますよ〜。桜の木も塩害でかなり枝を落としてしまっていたのですが、今年はどこもすっかり花付き良くなっています。