大町の妙本寺は、鎌倉駅から歩いて10分ほど。
駅から近いのに、谷戸の奥に伸びる参道は緑深く、山奥のお寺に来たような静寂があります。
祖師堂へと向かう参道は、杉や楓の大きな木々に囲まれて晴れた日でもほの暗い木洩れ陽の道。
梅雨の季節、雨が降る日はしっとりとした風情でいちだんと魅力が増すように感じます。小雨ぐらいなら、雨粒に当たらないで歩けるぐらいに、頭上まで葉が生い茂っています。
境内はほどよく手入れされていて、植物が自然な姿を見せています。雨の日に、祖師堂や二天門で雨宿りしながら眺めたい景色。
広々とした境内は、いつも人影少なく、雨の日はさらにひっそりとしていて、藪の中で鳴くウグイスの声が響きます。
妙本寺の紫陽花は、北鎌倉や長谷に比べると例年やや遅咲きです。これから7月に入るころまで楽しめそう。
参道入口や本堂に向かう階段両脇、二天門近くなどに散りばめられたように紫陽花が咲きます。
たくさんあるというわけではないのですが、古刹らしい景色になじんで良い雰囲気。大きく育った紫陽花の株が、杉木立の中にこんもりと茂っていました。
ゴージャスにどーんと咲く紫陽花ではありません。
しとしと雨の日に、傘をさしてぶらぶらしたり、雨宿りしながら楽しむ花々です。
紫陽花が咲く時期、雨が降る日は妙本寺に出かけてみます。祖師堂の回廊に座ると、雨音をさえぎるように、藪の中で鳴くウグイスの声が高く響いたりして、静けさの中のちょっとしたワクワク感みたいなものがあるんですよ。祖師堂で雨宿りしてると、雨がどんどん強くなるのも楽しめる感じ。
実は祖師堂に座ると紫陽花の花はほとんど見えません。なので、雨が収まったら紫陽花の咲いてるあたりを見て回わります。淡い色合いの紫陽花が、山の中に自然に咲いているといった風情が気に入っています。
妙本寺は、比企ヶ谷(ひきがやつ)という地名のもとでもある、比企一族滅亡という壮絶な鎌倉の歴史の舞台でもあります。ここに行く時には、さらっとでもガイドブックなどで歴史について知った上でいくと、感慨もひとしお。